今更ながらファイアパンチを読んでめちゃめちゃ衝撃を受けた件
- 2020.08.02
- 漫画

週刊少年ジャンプで「チェンソーマン」を連載中の藤本タツキ先生。
衝撃の展開の連続で読者を驚かせまくってますよね。
そんな藤本タツキ先生が「チェンソーマン」の前に連載していた作品が「ファイアパンチ」
結構話題になっていた作品なのは知っていたんですが、1巻くらいまでしか読んだことがありませんでした。
「最初は面白いけど・・・・」
みたいに言われがちな作品という事だけは知っていて、そんなに手が伸びない作品だったんですが、ジャンププラスで毎日1話無料で読めるのを知って読み始めてみました。
まだ全部読めたわけじゃないんですが(63話くらいまで)やっぱり物凄くとんでもない作品ですね・・・。
なんかもうとにかく尖りまくっていて、圧倒的なセンスを感じますし、「チェンソーマン」にも「ファイアパンチ」が受け継がれているんじゃないかと思ったり。
まあ「チェンソーマン」がヤバい方向に話が進んでくると「藤本タツキ先生のファイアパンチが爆発しちゃってる」みたいな感想を目にしたことありますしね。
「チェンソーマン」はこれでもある意味ではマイルドになっていると言えるのかも。
まだ最後まで読んだ訳ではないのですが、ここまでの感想を軽くまとめてみたいと思います。
ファイアパンチネタバレ感想
1話目のインパクトが絶大過ぎる
「ファイアパンチ」の世界は氷の魔女という存在によって雪と飢餓と狂気に覆われた世界という設定。
そしてこの世界では産まれながらに奇跡を使える祝福者と呼ばれる者が存在している。
と、世界設定の部分だけで言えば割と普通というか、ベタという感じではありました。
が、2ページ目にはいきなり主人公の妹が主人公の腕を合意の上で切り落とすというヤバいシーンが描かれていました。
主人公のアグニは再生能力の祝福者であり、自分の腕を切って村人達に食料として分け与えていたというエグいけど良い行いではあったのですが、中々ヘビーでショッキングなシーンとなっていました。
もちろんショッキングなシーンはそれだけではなく
- アグニの妹のルナが何故か子作りを迫ってきたり
- アグニ達の村が消えない炎によって焼き払われたり
- 再生の力で死ねない主人公が延々と燃え続けていたり
- アグニの目の前で何よりも大切なルナが真っ黒に燃え尽きてしまったり
- 妹を殺された復讐の為にアグニが炎に覆われた男になったり
- 悪党が奴隷に自分のオシッコを飲ませようとしたり
- 見開きページにデカデカと描かれた「ファイアパンチ」の文字が物凄いインパクトだったり
などなど、これでもかというくらいに印象に残る1話目となっています。
展開自体はある意味ではやっぱり割とベタではあるはずです。
故郷の村が大変な事になり復讐する為に戦いを始めるというのは、漫画やゲームなんかではよくあるパターンでしょう。
が、それをベタだと思わせないのがキャラクターの設定の部分であったり、魅せ方の上手さだったり、容赦のない展開の描き方だったりするんだろうなぁと感じます。
「チェンソーマン」も1話目のインパクトは凄かったですが、「ファイアパンチ」の方は復讐劇という事もあって相当なインパクトがあるなぁと。
ただし漫画としては「チェンソーマン」よりはかなり丁寧というかわかりやすさも感じますね。
「チェンソーマン」はあえて詳しく説明しなかったりする事を面白さに繋げている感じがしていて、どちらが良いかは微妙かもしれませんが、「ファイアパンチ」があったからこその「チェンソーマン」なんだろうなぁとは思ったりします。
とはいえどちらもやばい作品である事は間違いなく、「チェンソーマン」が誰も想像出来ないような方向へと物語が進んでいったように、「ファイアパンチ」も1話目からは想像出来ない方向へと物語が進んでいくのでした。
最高にイカれた魅力的なキャラクターのトガタ
「氷の魔女」だったり「祝福者」だったりというワードもあって、どこか近代ファンタジー感が強かった「ファイアパンチ」
しかし8話目で登場してきた「トガタ」という強烈なキャラクターによってこれまでの「ファイアパンチ」の世界観のイメージが全部吹っ飛んでしまいます。
物語はアグニが復讐すべき仇である「ドマ」と再会した事で、激しい怒りを押さえきれないという場面。
しかし今まさに戦いが始まろうとしたそのタイミングで登場してきたのが「トガタ」というキャラクターでした。
突然登場してきた「トガタ」という女性のキャラクターは(女性のキャラクターという事にも少し複雑な気持ちになるが)いきなり映画のタイトルを次々に口にします。
いきなり違う作品になったのかと呆気にとられてしまいますよね。
自らの語りを全てビデオカメラに収めているようで、6ページに渡って一人で延々と喋り続けるトガタ。
登場からずっと同じコマ割りでトータル25コマ分ずっと下ネタを交えながら映画について語るのですが、ここで「ファイアパンチ」の世界が近代どころか未来の話だという事が明かされます。
2200年代という言葉が出ていたので、少なくともそれ以降の話という事ですね。
つまり「ファイアパンチ」の世界は、氷の魔女によって世界が雪で覆われて文明が成り立たなくなった未来の話という事だったんです。
トガタは古い時代の遺物とされる映画が大好きで、映画が見れないと死んでしまいそうになるという特殊なキャラクター。
代々受け継いできた映画を繰り返し見ていたトガタでしたが、その映画を失った事で絶望してしまいます。
が、そんな中でトガタが手下の撮ってきた映像の中で見つけたのが全裸で燃え続ける謎の男。
つまりアグニの事なのですが、アグニを見つけた事でトガタはひらめきます。
「コイツを主役で!私が監督で!!自分で映画を撮ってしまえばいいのだと!」
と、ここまでの復讐劇とは全く関係のない事を語りだしたトガタ。
普通にパソコンがどうだとか、ソニーのカメラがどうだとか、マジで全くこれまでの世界観をガン無視した発言を続けます。
そしてアグニ主演の映画のタイトルを「ファイアマン」と微妙に外したタイトルに決めると、アグニに会うために行動を開始します。
が、もうこのトガタが最高にメチャクチャすぎて、別の世界の登場人物みたいに暴れまわってくれるんですよね。
あくまでも自分の為だけに動いているので、誰かを助ける訳ではなく良い映像が撮れるかだけを気にして大暴れしまくります。
しかもアグニの復讐劇をより良いものとするため、自分もどんどん参加してくる辺りもトガタのヤバい所。
13話では、アグニの妹のルナに似ている敵の首を斬り落とし、その生首を持ってアグニと楽しそうに追いかけっこをするというどう考えても頭のおかしいシーンが描かれます。
まあおかしいのはそういう場面ではなく、その場面を楽しそうな演出にしている作者の方だとは思うんですが・・。
しかしこの場面の謎の青春感は「チェンソーマン」でのサムライソードのキ○タマ蹴り大会を思い出してしまいました。
まあ「チェンソーマン」は実際爽快感がありましたが、こっちは純粋に気持ち悪い場面なんですけどね。
トガタが登場した事で、純度100%の怒りで出来たアグニがどんどん人間っぽく見えてくる展開は面白くもあり怖さを感じる部分でもありました。
アグニがトガタが撮りたい映画の主人公として演じ始める事となり、「演じる」事がこの作品において非常に大きな意味を持つ事になっていくのも凄いです。
とはいえ300年くらい生きている彼女にも色々と秘密があって、それがまた物語を非常に面白くしてくれるんですよね。
この世界の真実と映画の重要性
普通ではないやり方で物語を大きく動かしていくトガタ。
アグニを強くしようと訓練したりする割には、アグニが負ける所を撮りたいと敵に協力したりと、倫理観が狂っているとしか言いようがありません。
彼女にとって何より大事だったのは面白い映画を撮る事のみなんですよね。
そして18話ではこの世界の真実がトガタの口から語られる事となります。
氷の魔女によって世界が雪に包覆われたというのは真っ赤な嘘。
そしてその目的は共通の敵を作り出して宗教で統一する為。
本当は地球が氷河期に入ったというだけの事であり、それでは何の希望もないからと敵を作り出したんですね。
まあ放っておいても勝手に地球は終わっていく訳であり、元々希望なんてものは存在していない。
この辺りの絶望感は「チェンソーマン」でも最近味わった気がしますね。
「チェンソーマン」のラスボスかと思われていた銃の悪魔も既に倒されていて、それぞれの国が他国との争いの為の道具として使われていました。
「チェンソーマン」にしても「ファイアパンチ」にしても、どちらもラスボスだと思われていた存在が、実はそうではなく、実際には政治の為の道具として使われていたという点では一緒と言えるでしょう。
まあ「氷の魔女」に関しては存在さえしていなかった訳で、こっちのほうがやっぱりエゲツない気もしますが。
しかしアグニがトガタの撮る映画の主人公を「演じる」事になった直後に、この世界の上に立つ者達もまた「演じている」事が明らかになる展開はやっぱり凄いですよね。
そしてそんな世界だからこそみんなどこか狂っているんだと。
そんな狂った世界で重要になってくるのが映画の存在。
トガタにとって映画が何よりも大事だったのと同じ様に、敵の勢力のボス的存在にとっても映画が自らの行動の大きな原動力になっていました。
というかもはやそれが全てであり、完全に映画ファーストだったんですよね。
しかし物語はそんなトガタや敵のボスの思惑を超えて勝手に動き出していき、どんどん取り返しがつかない所まで突き進んでいきます。
復讐劇として始まった物語が、どんどんグチャグチャな物語へと変化していきながら進んでいき、本当に地獄としか言いようがない展開になっていくのはやっぱり「チェンソーマン」と重なる部分がありますね。
そしてやっぱり「ファイアパンチ」を読んでいて思ったのは、藤本タツキ先生にとっての映画の重要性。
「チェンソーマン」は非常に映画的な演出が多い作品だと思っていますし、作中でも重要なキャラクターが映画についての考えを披露しています。
それだけに藤本タツキ先生は自分の映画愛を作品にブチ込んでくるスタイルの漫画家さんだと思うんです。
そんな事もあり、「ファイアパンチ」を読むと「チェンソーマン」についての考察も深まってくるような気がしましたね。
ファイアパンチネタバレ感想まとめ
読んでいて流石「チェンソーマン」の作者さんの作品だと否が応でも感じさせられた「ファイアパンチ」
恐ろしいくらいにイカれた物語が展開している「チェンソーマン」ですが「ファイアパンチ」はまた違った方向へと突き抜けている作品だと感じました。
最初は割とわかりやすいストーリーかと思っていましたが、どんどんシンプルなストーリーから外れていくのが恐ろしくもあり楽しくもありました。
個人的には「チェンソーマン」に負けないくらいに面白いというか、非常に考えさせられる作品だなぁと感じました。
基本的に絶望しかないような話ではありますが、それだけに非常に衝撃を与えてくれる作品でもあります。
映画が重要になってくるという事もあり、「チェンソーマン」についても改めて考えたくなりました!
「チェンソーマン」に登場するデンジとマキマさんの映画デートの辺りの考えを、「ファイアパンチ」の登場人物の考えと照らし合わせて考えてみるのも面白そうな気がしますね!
今回はここまで。
最後までお読み頂きありがとうございました!
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